梅雨明けの発表もあった今週、「小さな白板」は図書館入り口で、週末「入試説明会」にご参加くださった皆様をもお迎えしました。
7月16日(火)
飛行機は光を裏切りながら飛ぶ もっと果てなき光をさがして
千葉 聡
週の初め、白板はちばさと先生の短歌からスタートしました。飛行機の旅がロマンチックになるような短歌ですね。確かこの短歌は、ちばさと先生が横浜サイエンスフロンティア高校の修学旅行引率時の作品でした。生徒の活動や、沖縄での平和への祈り、夜中の見回りなど、様々な短歌が修学旅行中に生まれる中、この短歌は、飛行機の中でちょっとだけ個人的思索に耽ったものなのかなと思いました。先生って引率中わずかに気持ちがほぐれるのは、飛行機や新幹線など交通機関の中にいる間なので…。
7月17日(水)
泣きながらご飯を食べたことのある人は幸せになれますといふ
今野寿美
泣きながらご飯を食べたことがありますか? あるとしたら、かなりつらい思いをした時、苦しい時、悲しい時だと思います。あまり人には言えない経験でもあるでしょう。そういう経験がある人に、あなたは幸せになれるんだよ、という温かいおまじないのように感じられる短歌ですね。弱った時に思い出してください。
7月18日(木)
蝉のこえを己のこえとして山はこのひと夏を叫びつづけし
山仲勉
セミの大合唱が登校する生徒を迎える季節。中には耳をふさいで並木の下を足早に通り抜ける生徒もいます。セミの苦手な生徒には、辛い季節でもあります。そんなセミの鳴き声を、山は自分の声としている、山はひと夏中、セミの声を通じて叫び続けたのだ…と歌ったこの短歌、芭蕉の「岩にしみいる蝉の声」とはまた違った風情を感じさせる短歌ですね。
7月19日(金)
これは無理だろってとこのすり抜けかたを猫から習うのはむずかしい
平安まだら
猫はすり抜けの名人。そんな「師匠」から、作者は本当に狭い所のすり抜け方を教わりたいのか、それとも、人生の急場をしのぐコツを聞きたいのでしょうか? どちらにせよ、気まぐれで自由な猫はそんなこと教えてもくれないでしょうね…。
7月20日(土)
定型の枠をとらえる言葉たち蹴りつづければゴール生まれる
俵 万智
俵万智さんの短歌は、深い! サッカーにも、歌作りにも、根気よく続けることが大事なんだと教えてくれます。サッカーなら、さしずめシュート練習を毎日欠かさず行うということでしょうか。短歌なら、ゴールは五七五七七という「定型の枠」。諦めずに毎日毎日言葉を枠に収まるように入れてみる作業が、いつか「ゴール」つまり納得のいく短歌が生まれることにつながるんだよ、と励ましているような短歌です。自分の活動をあきらめてしまいたくなった時に、この短歌を呟いてみましょう!
7月21日(日)
ひと月をかけて読みたる歌集ありそのつど風の切れ端はさむ
toron
散文を「読書」するのと比べて、歌集、句集、詩集というものはテンポよく読み進めるなんて私にもできなせん。愛おしむように長い時間をかけて味わうことが大切ですよね。何度も「風の切れ端」をはさみながらゆっくりじっくり読書している、心豊かな作者の姿を想像しました。
20、21日の「中学入試説明会」にお越しくださいました皆様、ご来校ありがとうございました!