小さな白板2024 第41週

本日は、第3回中学入試説明会を本校にて開催致しました。貴重な日曜日にご参加くださった皆様、ありがとうございました! 

図書館入り口の「小さな白板(ホワイトボード)」、後期開始の10月15日から本日21日までのラインナップをご紹介します。秋の雰囲気満載の一週間でした。秋は短歌が似合いますよね。

10月15日(火)
自由にも重力はある地に足がつく方じゃない幸せのかたち
       奥かすみ

秋休みが明けた後期始業式の日、一週間ぶりに集う全校生徒との皆さんに、旧ツイッターで出会った短歌をプレゼント。重力のある自由、幸せのかたちってどんなことを指すのだろう? ちょっと謎めいた短歌でのスタートです。後期、いろいろな自由や幸せを見つけることのできる生徒たちでありますように。

10月16日(水)
キンモクセイ満開の日に生まれし子もうじき君の季節がくるね
        目良亮子

キンモクセイの季節を迎え、この短歌を白板で紹介しました。この短歌に出会ったのは、一冊の本が学園に届いたからです。

それが「あいのうた短歌集」(俵万智・田中章義選)です。平成26年から毎年行われた「あいのうた」コンテストの入賞作品を集めた一冊です。「あいのうた~出会いから子育てまでの短歌コンテスト~」には、親から子へ、子から親や祖父母へ、愛しい人へ・・・様々なあいのうたが全国から寄せられます。愛にあふれる短歌がたくさんあります。白板に書いた短歌も、親から子への愛が感じられる一首。
明日からの第42週では、「あいのうた」から選んで紹介したいなと思っています。

10月17日(木)
古き絵の燐寸(マッチ)の象は何となく人間(ひと)めく眼せりわれを見つめて
       大塚寅彦

マッチ箱の古い絵が、作者をはっとさせたのでしょうか。そこには、象の絵が描かれていました。象の眼が何となく人のような眼をして、自分を見つめている。そのまなざしが作者の心をとらえたのでしょう。どんな象の絵なんだろう?私は若冲の白い象の絵を思い浮かべました。

10月18日(金)
夕焼けの色のハートを持つ人と歩けば秋が深まっていく
       松田梨子

深まる秋を感じると共に、ロマンティックな空気を醸し出す短歌ですね。「夕焼けの色のハート」、どんなこころねの持ち主なのでしょう。二人並んで歩く後ろ姿が目に浮かびます。

10月19日(土)
ヴァイオリンは弓と別れて横向きに置かれをりたり暮れゆく部屋に
       栗木京子

暮れ行く部屋にぽつんと置かれたヴァイオリン。楽器の持ち主が練習の後、片付けしないで置き去りにしたのでしょうか。風景として詠まれた短歌ですが、「弓と別れて」という擬人化された表現、ヴァイオリンが「僕にとってはとても不本意な置かれ方なんだ」と無言のうちに訴えているようですね。

10月20日(日)
子と我のページをめくるタイミング時々シンクロする秋の夜
       山添聖子

秋の夜、親子で静かに読書している光景。なんて素敵な時間でしょう。ページをめくるタイミングが時々一緒になるのも、静かだからこそページをめくる音で分かるのでしょう。穏やかで美しい、かけがえのない時間ですね。

ということで、読書の秋です。

今年の第78回「読書週間」(10月27日~11月9日)の標語は、「この一行に逢いにきた」だそうです。素敵な一行に出会えるチャンス。生徒の皆さん、テストが終わったらぜひ読書の時間を確保してくださいね。

図書館に、歌集「まだまだです」が入りました。
作者のカン・ハンナさんは、9月23日に行われたTEDxHamamatsu2024のスピーカーのお一人です。
「白板」でも彼女の短歌を紹介しました。ぜひ手に取って読んでほしい一冊です。

私は最近「最後の晩ごはん」(椹野道流作)シリーズ20作目の「優しい犬とカレーライス」を読みました。このシリーズのファンになった方がいらして、その方と話が盛り上がった秋休みでした!