高校講堂朝会「様々な女性の生き方を通して」

今日の1時間目は、高校の講堂朝会でした。「様々な女性の生き方を通して」と題して、アメリカ大統領選挙に挑んだ二人の女性のスピーチを振り返り、さらに、国連で活躍する日本女性の中満泉さんについてお話しました。

2016年、トランプ氏に敗れたヒラリー・クリントン氏の敗北のスピーチには、若い人々、特に女の子たちへ、熱いメッセージがありました。

若い人たちに、ぜひ聞いてほしいことがあります。私たちはいまだに、あの高いガラスの天井を打ち砕くことができていません。しかし、きっと、いつの日か誰かが、私たちが思うよりも早く、叶えてくれるでしょう。
今、この演説を聞いている女の子たちへ。あなた方には、価値があり、強さもあり、この世界であらゆる可能性を持ち、様々な機会に挑戦するにふさわしいということを、決して疑わないでください。

2016年11月 敗北宣言 ヒラリー・クリントン

それから4年後の2020年、大統領選で、バイデン氏が現職のトランプ氏に勝ちました。バイデン氏の副大統領候補だったカマラ・ハリス氏は、スピーチの中で、自分の母を含むアメリカの女性たちの苦難の歴史に触れました。「100年の間、女性たちは投票する権利のために闘い続けてきた」と。

女性たちは闘い、多くのことを犠牲にしました。全ての人々に、平等。自由・正義をもたらすために。黒人女性たちはあまりにも見過ごされてきました。しかし、民主主義の根底にある大切な存在だと証明してきたのです。全ての女性たちは投票する権利を守るために一世紀以上に及ぶ努力を続けてきました。100年前、憲法修正第19条が、55年前には投票権法ができ、そして2020年、私たちの国の新たな世代の女性たちが投票しました。投票して自分の意思を示すという基本的な権利のために闘っているのです。

2020年11月 バイデン氏の勝利演説 カマラ・ハリス

そして、今年2024年、大統領選に挑戦したハリス氏は、トランプ氏に敗れました。ガラスの天井はまたしても、女性の大統領の実現を拒んだのです。敗北を認めたハリス氏は、「闘い」について次のように語りました。

私たちは、より静かな手段でも、この戦いを続けていきます。優しさと敬意を持って他者と接しながら生きるのです。見知らぬ人も、隣人たちも、見守っていくのです。自分たちの力を使って、人々を救い、全ての人々が相応の尊厳を持てるように闘うのです。
闘いには時間がかかります。でも、それは勝てないということではありません、大切なのは決して諦めないことです。

2024年11月 敗北宣言 カマラ・ハリス

4年ごとの3回のスピーチを紹介しながら、私は、先を歩む女性たちの「次世代を育てる」という使命感に感じ入りました。そして、朝ドラ「虎に翼」の寅ちゃんが、これからの女性たちのために自分が岩を穿つ雨だれになっても構わないと言った言葉を思い出しました。

もう一人紹介した女性が、中満泉さんです。中満さんは、ヤマザキマリさん監修の「Woman’s Style 100 日本の女性たち」(写真左側の本)にも取り上げられている女性です。

世界の軍縮のリーダーとして活躍する中満さんの、「15歳の私へ」というメッセージを今年も読みました。高3生はこのメッセージを聞くのは2回目だと思いますが、覚えていてくれたでしょうか。「15歳の私へ」は、昔の私への手紙という形式をとった、後進の女性たちへの応援メッセージだと思います。そこに書かれているのは…
 ◎「女のくせに」っていう目で見る人たちのいる社会の現実に直面しても、負けてはダメ。
 ◎広い世界や自分と異なる文化への好奇心と探究心を失わないで。
 ◎周りと違うことを考えたりやろうとすることは決して恥ずべきことではない。
 ◎頑張っていれば、味方して応援してくれる人がたくさん出てくる。
 ◎教育は最大の武器。「学歴」ではなく、本当の「知」(知識・知恵)を身につけるために勉強しよう。
こんなに熱いメッセージが、若い世代へと伝言されたのです。ここにも、中満さんという女性の渾身の思いを感じます。

女性としていかに生きるか、生徒たちは今日の訓話を聞いてどんな考えを深めたのでしょうか。集会記録の提出を楽しみにしています。