小さな白板2024 第45週

図書館入り口に掲げている「小さな白板(ホワイトボード)」、その第45週のラインナップをお届けします。今週は、研修旅行を終えた高校2年生にとっては「テスト前」の週とあって、放課後、図書館三階で勉強に励む生徒がたくさんいました。

11月11日(月)
愛された犬は来世で風となりあなたの日々を何度も撫でる
       木下龍也

1111の日には、ワンちゃんの歌を書こうと決めていました。今年のワンちゃんの歌は、木下龍也さんの有名な短歌です。

歌人の木下龍也さんが、依頼者からの手紙を読んで一首を届ける「あなたのための短歌1首」という活動をしていると、NHKのドキュメンタリー「文字メンタリー -あなたにしみこむ31音-」で知りました。この短歌も、一人の依頼人に宛てた短歌だそうですが、一匹の愛犬の存在を超えて、たくさんの人々にとってペットを失った悲しみを癒してくれる短歌となり、遂に絵本ができました。「きみと風」という優しい優しい絵本です。

あなたの傍で暮らし、あなたから愛されたペットは、虹の橋を渡った後も、風になって必ずあなたの傍であなたを支えてくれているのです。

11月12日(火)
しんじつにおもたきものは宙に浮かぶ 惑星・虹・陽を浴びた塵
       井辻朱美

宇宙を感じるスケールの大きな短歌だなあと思い、白板にしたためました。火曜のNHKドラマ「宙わたる教室」の影響でしょうか。小4の孫がはまっているというこのドラマ、実は私も楽しみにしています。火星のクレーターを作る定時制高校の生徒たちの成長を、50歳以上歳の離れた孫と共に楽しめるって幸せなことですね。

11月13日(水)
靴ひもを結ぶべく身を屈めれば全ての場所がスタートライン
山田航

靴ひもを結ぶ背中を丸めた姿勢が、そのまま「スタート」の姿勢になるのだと作者が教えてくれました。緩んだ靴ひもを結び直す時の気まずい思いから解放させてくれる一首です。人って、考え方ひとつで前向きにも後ろ向きにもなりますよね。せっかくですから、前向きな気持ちで自分を奮い立たせたいですね。

11月14日(木)
風はむかし樫の木、樫はそのむかし旅人、旅人はただかぜ
       小島ゆかり

これもスケールが大きい短歌ですね。一人、風のなかにたたずんで見上げている樫の木…。風、樫の木、旅人しか出てこない短歌なのに、そしてたった31文字なのに、長い長い年月の流れを感じさせる、壮大な叙事詩のような短歌のように感じます。作者はどうしてこうした「輪廻転生」のような想像力を巡らせることになったんでしょう。背景に興味が沸きますね。

11月15日(金)
地方ってせつないんだよわかるかなあイオンが建ってさらにせつない
       渡辺松男

都会の人にはわからないだろうなあ、というぼやきが聞こえてきそうです。地方に住む人の、都会へのあこがれと嫉妬のような屈折した気持ち。そこに大きな街のようなイオンが建つことで、都会になったような錯覚が生まれて、人々が押し寄せます。賑わうイオンを見ながら、でもここは都会じゃない、都会っぽくされただけなんだ…と余計にせつない気持ちになるんじゃないでしょうか。

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11月半ばを迎えた西遠の紅葉事情と、昨日校内で目撃した動物たちをどうぞ。

猫さんは、南館から生活会館へ、堂々をした風格でパトロールしておられました。スズメさんは、ナンキンハゼの実がお好きなようです。赤い実はセンリョウ。赤い葉はニシキギです。生活会館のイチョウも黄色味を増してきました。

【お知らせ】明日17日(日)、えんてつホール(遠鉄百貨店新館)で「私立高校合同フェア」が開催されます。県西部の私学11校がブースを出します。公立中学3年生の女生徒の皆さん、西遠のブースにもどうぞお越しください。オオバも待っております! 予約制となっていますが、こんなイベントがあるなんて今知った!という方は、明日、会場受付にいらしてご相談ください。