女性教育講演会 ~12月17日富野監督来たる‼~

12月17日、今年度の「女性教育講演会」が行われました。今年ご講演くださったのは、アニメーション作家で『機動戦士ガンダム』の生みの親である富野由悠季監督です。

どうして、富野監督が女子校に来てくださることになったのか、それは、学園祭で高校1年星組が研究した「空飛ぶクルマ」に始まります。生徒たちは、「空飛ぶクルマ」の仕組みだけでなく、なぜ空を飛ぶ夢が実現できたのかという点にも興味を広げ、「夢を実現させるには」ということを様々な世界で活躍する方々にインタビューしようと考えました。クラスには、熱心なガンダムファンの生徒もいました。彼女の「ぜひ富野監督にお話を聞きたい」という熱意が、学園祭直前に富野監督に届きました。そして、学園での講演会が実現に至ったのです。
講演タイトルは、   
 「有限の地球で暮らすために」~これからの未来を考える~
生徒たちが富野監督に事前に質問を寄せ、その質問に壇上の富野監督が答えるという、生徒参加型の講演会が実現しました。

会場となった岡本記念講堂の客席には、全校生徒だけでなく、この講演会にぜひ参加したい!というご家族の皆さんも駆けつけ、講演会の始まりを楽しみに待っていました。
富野監督は、トレードマークのお帽子をかぶり、さっそうと講堂の舞台に登場しました。会場からの大きな拍手で、講演が始まり、富野監督は中央に用意された椅子に座って、生徒たちから寄せられた質問の用紙もお持ちくださり、お話を始められました。

講演では、「ガンダム」がそれまでの、宇宙人と戦う巨大ロボの物語とは違って、人間対人間の戦争の物語であることに触れ、当時は分かりにくかったそのテーマが、40年という長い時間をかけて人々に評価されたことを挙げて、「相手や多くの人に理解しにくい思いを伝える時、どんなアプローチや心掛けが必要だと考えますか」という生徒の質問に対して、「本当に相手が受けとめる瞬間まで待つしかない。40年かかります。そう簡単に理解してはもらえません」と答えてくださいました。

「監督に影響を与えた人や作品は?」という質問には、中高生の間に、芥川龍之介や森鴎外を読んだことを挙げ、「自身の能力を高めようと思ったら、高みのものを読んだり聴いたりしてください。それが自分たちの学習になるから。」と、優れた作家や作品に触れることの大切さを教えてくださいました。

「監督の死生観は?」という問いには、「死ぬことは射程距離に入っている。平穏に死を迎えられるのはいいことだと思っている。正面切って死を迎えたいと思う」と語り、「形のあるものを残すよりも、次の世代に繋げるものを作りたいと思うようになった。今は繋げるものになっていないとされているが、次の世代の人々にはわかってもらえるはずだ。30年後、『Gのレゴンギスタ』のメッセージが伝わるはずだと考えている」と述べ、これからの時代を担う若者たちに「未来が今の地球と違うことを望んでいる」という壮大なメッセージをくださり、90分の講演が終わりました。

「空飛ぶクルマ」で富野監督への取材に奔走した生徒が、全校生徒を代表して、あこがれの富野監督に花束を贈呈しました。

講演後、高校1年星組の生徒たちが、富野監督とお話する時間をいただきました。紅葉の下で監督が生徒たちに語ってくれたお話を、きっと彼女たちは胸に刻んだことでしょう。

富野監督、浜松の女子校へお越しくださり、ありがとうございました。
監督のお話を聞いた生徒たち、保護者の方々からのメッセージを、近くお届けする予定です。