2024年12月24日、クリスマスイブに、西遠は2024年の「授業納め」を迎えました。
寒い朝、生徒たちの登校を今日も紅葉が迎えてくれます。
朝の大掃除では、全校でワックスがけに励みました。オオバの担当は本館の玄関。5年菫組の陽気で働き者のメンバーがワックスで廊下を磨きました。
この後、授業納めの式が講堂で行われました。一年を振り返りながら、生徒の学びと成長を語り、12月14日の講堂朝会「人権」の生徒の感想を全校に紹介しました。いずれも、私の話と学年や授業、部活での学びとを重ねたものでした。
私達3年生は、講堂朝会のあとに「裸足の1500マイル」の映画を見ました。内容としては全然楽しいものではなく、むしろ悲しい内容でした。舞台はオーストラリアで、白人社会に適応させようとする政策により、アボリジニの混血児を家族から隔離させます。しかし、子どもたちは母親のもとへ帰るためにたくさん歩いて帰ったという内容です。白人の人々は悪いと思ってやっているのではなく、ただただ子どもたちを助けてあげたいと思ってやっていたのだと思います。しかしこれは子どもや母親にとってはすごく辛く、悲しいことです。なので、白人や黒人の差別・男女の差別・LGBTQの差別などが本当になくなることを願います。(中学3年生)
谷川俊太郎さんは、私が2年の時高校生のダンス部の先輩方が谷川俊太郎さん作である「もこもこもこ」を神戸の大会で踊っていたことも有り、その名前はよく知っていました。オノマトペだけを使ったその絵本はきっと子どもの興味を引いたのではないかと思います。実際「もこもこもこ」を使ったダンスはとてもユニークで賞をもらいました。先輩方が賞をもらったことで、私は谷川俊太郎さんの絵本を買いに行きました。買ったのは「へいわとせんそう」という本なのですが、今回校長先生が紹介されたため、驚きました。先生がおっしゃっていた通り、内容・イラストはとてもシンプルです。対照的なことが見開き一ページで書かれているだけ。でも読み進めていくと対照的じゃなくなる。これは絵本で、一般的に幼稚園児・小学生が読むものと思います。しかし。中2の時読んだ私は、中学生だったからかもしれませんが様々なことを考えさせられました。講堂朝会のあった土曜日、家に帰って改めて読んでみました。やっぱり内容はシンプルですが、だからこそなにか訴えられているような感じがしました。よくテレビで平和という言葉が使われています。果たして現在の日本は平和なのか、どのぐらいの人々が今の生活に満足しているのか。逆に海外の人々は今の日本を平和で良い国と捉えているかなど平和について様々なことを考えさせられる土曜日になりました。(高校1年生)
私のクラスでは今論理国語の時間で「『である』ことと『する』こと 」(丸山真男著)についてやっています。その中に日本国憲法第12条の「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。」の引用があります。我々が普段当たり前にあるように思っている権利はそれを行使しようとすることによって初めて存在するようになるということです。私達がその権利を行使しようとしない限り、人権はあってないようなものになってしまいます。今の日本では人権を行使するのではなく、いつでもあるものであるという意識が高いように伺えます。中東やアフリカ、他多くの地域で政府が独裁的であったり、政府がほぼ機能していないような国が未だに多く存在しています。18世紀ごろに世界中に広がった自由と権利を求める動きというのは一国家を覆すような凄まじいものでした。第二次世界大戦後に発表された世界人権宣言や子どもの権利条約によりやっと落ち着いてきた人権問題。現代であるから、日本であるから当たり前にあるように思えても、実際はそうではないということを気に留めておかなければ、いつか行使できるはずの人権、自由を失ってしまい可能性だって0%ではありません。いま韓国では大統領の弾劾について大きな騒動が起きています。数十年によりようやく獲得した権利、民主主義体制の確立を失わないよう活動をしています。ロシアでも現在ウクライナ侵攻による地方の徴兵が目立つようになり、平和や自由、権利が脅かされていることが多いです。日本にいて、人権が確立されている中でも、人権を行使し続けることが大切だと思います。また、世界でどのようなことが問題でどのようなことが起きているのか、何が問題になっているのかについて自分で調べ、国際的な問題や課題について自分なりに考えていきたいと思います。(高校2年生)
ノーベル平和賞を受賞した被団協の話を聞き、少し研修旅行でのことを思い出しました。研修旅行で平和資料館を見に行ったとき、展示されているものが被爆当時のままだったり、実際に来てみないとわからないことだったりと貴重なものが多く、みんな噛みしめるように重く受け止めていました。ガイドさんが、被害者の方も見せたくて見せているわけではないと説明してくださったこともあり、当時の人達の様子や気持ちを考えながら見ていました。ですが修学旅行シーズンで、他校の生徒も多く、展示を見てからかったり、笑っている生徒を見て、とても残念な気持ちになりました。戦争を笑い事のようにしている人がいることに驚きました。同時に私たちが戦争はいけないということを世の中に訴えていく必要があることをしみじみと感じさせられました。被団協がノーベル平和賞を受賞したことにより、少しでも平和について考える人が増えたらいいなと思います。(高校2年生)
中3はオ-ストラリアを訪ね、映画を見たことで、人権の意識が広がりました。高1は、先輩のダンス作品の影響で谷川さんの絵本と出会いました。高2は、国語の授業や世界史の授業をしっかり自分の考え方の土台にしていたり、研修旅行で訪れた長崎で「平和資料館」での光景を振り返りながら決意を新たにしました。私は、こうした生徒たちの気づきや発展がとても頼もしく、誇りに思いました。それを紹介することで、全校生徒に考えてもらいたかったですし、自分もまた何かを始めなくては、という思いを抱いてほしいなと思いました。そして、最後に高校3年生の感想も紹介しました。
卒業が間近な中考えるのは、将来どんな人間になって社会に貢献できるかということです。西遠で過ごした6年間で、自分を磨くことのできる経験をたくさんしました。そこで、新たな能力に気付いたり、身につけることもできました。先生も含めてずっと同じ環境の中で育ち、能力を培い、それを今度は大学でどのように発揮することができるかすごく考えています。大学は中・高とは違い大人の学生です。6年間成長し続けてきたものを環境が変わったら失うのではなく、発揮しもっとすごいものにしていきたいです。西遠生はそれぞれ個性があり色んな能力をそれぞれが持っています。卒業生の中でも社会で活躍し貢献している人は多くいますが、みんな西遠で培ったものを最大限に活用し更にすごいものにしている人たちだと思います。これからの人生は環境によっては成長が変わると思いますが、周りに流されて自分を失うことなく生きていきたいです。これから生きていく中で夢がどんどん変わっていくことがあると思いますが、本当に自分がやりたいことなのかということを考えていき、そのためにどんな努力をしていく必要があるのかも考えていきたいです。今、平和な日本でも今後いつどんな不幸が起こるのかわからない中でも、今を生きていく私達は、戦争や震災など過去の出来事を忘れてはいけませんし、常に平和について考えていかなければいけないと思います。私達は、過去の出来事を知るだけではなく、自分たちには何ができるのか考え、行動していかなければならないと思います。平和を大切にすると同時にどう生きていくのかも常に考えることが大切だと思いました。(高校3年生)
6年間西遠に通い、最後の講堂朝会の感想として、こうした決意を力強く述べてくれた高校3年生。西遠生たちは素晴らしい先輩を持っているのだと改めて感じます。幸せなことだと思います。生徒たちの集会記録が、2024年の私にとっての大きな大きな収穫でした。
午後は、PTAの皆様にもご参加いただき、生徒会主催の年末ボランティア。蒲神社や公園、学校の周囲などの外掃除にみんなで励みました。一緒に作業してくださった保護者の皆様、ありがとうございました!
年末ボランティアの様子は、公式ブログをご覧ください。私も改めて後日ご紹介しますね。
夕方まで会議があり、外に出るとマジックアワーの美しいグラデーションの空に、金星が輝いていました。
♪”クリスチャンでもないのに”そう思っていたけれど
クリスマスは優しい気持ちになるための日だね♪
槇原敬之さんの「雪に願いを」という歌が脳内リピートしている今夜、皆様がどうぞ幸せなひとときを過ごせますように。
メリークリスマス!