懐かしい教科書

亡父の本棚を遂に(ようやく…)整理することになり、本の山の中から、こんなものを見つけてしまいました。

何とも懐かしいこの色! 山川の『詳説 日本史』です! 高校3年生の時に使い込んだ私の教科書です。ちなみに左の用語集の方は妹の名前が書かれていました。両方とも父の本棚に引っ越していたのは、おそらく、熱心に日本史を学ぼうとした父のなせる業でしょう。私や妹から譲り受けたのjか(あまり記憶が定かではありませんが)、様々な古代史の本たちと一緒にこの2冊が並んでいたのでした。

ぺらぺらとめくると、自分自身の書き込みにたくさん出会いました。

このページは、「皇室と藤原氏の関係系図(一)」と書かれていて、ところどころに鉛筆の荒っぽい丸が書かれています。左上にあるのは、「墾田永世私財法:」ではありませんか! まあ、なつかしい。

「室町幕府の機構」のところには、「三代目義満のころに整う」と赤ボールペンの字でメモ書きされています。

目がしょぼしょぼしてしまって、ゆっくり教科書を「読書」するゆとりはありませんでしたが、ぺらぺらめくると、池ケ谷先生に教わった17歳の頃(日本史を教わったのは高校3年生。早生まれの私は授業終了時まだ17でした。)が思い出されます。あのまとめに使ったルーズリーフのカラフルなノートはどこに行ったかしら…。

受験生として日本史の知識を必死で詰め込んでいた私でしたが、でも日本史を学ぶのは楽しい作業でもありました。今も日本史は大好きです。先日も、中学3年生に向かって歴史の理解の仕方について熱弁をふるってしまいました!

さて、私の父は、日本史を学ぶことに飢えていました。私が高校3年生になった春、日本史の年表をトイレに貼った時から、父自身が戦中に教わった歴史とは全く違う古代史を知り、かなり気持ちを動かされたようです。私が受験を終えた後も、父はずっと日本史を独学で学び、年表まで制作するようになったのでした。NHK特集の「シルクロード」を熱心に視聴し、書籍は歴史ものばかり、各地のシンポジウムに出かけ、遺跡の発掘があれば飛んでいくと言った熱の入りようで、遂には、中国、インド、トルコ、エジプト…とシルクロードを西へ西へと進むがごとく海外にも出かけたのです。タクラマカン砂漠まで行った年もありました。

父のことを想う時、そこにはいつでも「勉強し続ける姿勢」がありました。見習わなくてはならない姿勢です。懐かしい日本史の教科書との再会に、「学び続けること」について考えさせられた年の瀬です。