【はじめに】
今日は、中学入試1日目。受験生の皆さん、明日の面接もどうぞ緊張しないで臨んでください。
また、共通テストに臨んでいる高校3年生の皆さん、「負けへんで」を合言葉にプラス思考で乗り切りましょう!
三連休明けの1月14日から出陣式のあった17日までの今年第2週「小さな白板(ホワイトボード)」を振り返ります。
1月14日(火)
ろう梅が溶け落ちそうな陽光に猫も日向で目を細めいる
浅倉 修
あたたかい日差しを求めて、週の初めにこの歌を書きました。朝日歌壇2024年2月11日に掲載されたものです。
蠟梅(ロウバイ)って、陽射しによって花びらが透きとおって見えるところが素敵です。それだけにこの短歌の「溶け落ちそうな」という表現にとても共感しました。
今週の浜松は低温も続いていましたが、雪の降らない暖かい土地柄ですから、雪にご苦労されている方々からすれば、贅沢な毎日を過ごしているのだと思います。
西遠には、猫はいませんが(立ち寄る猫はいるかな?最近見ないな…)、ロウバイがたくさん咲いていますから、この短歌の雰囲気を味わえる人も多いのではないでしょうか。
1月15日(水)
受賞より核廃絶を待ち望む被爆者の顔深き皴よる
山瀬佳代子
1月12日の朝日歌壇で「第41回朝日歌壇賞」が発表されました。 2024年の入選歌から高野公彦選として、山瀬佳代子さんのこの歌が掲載されていました。ノーベル平和賞を受賞してスピーチをした田中さんの表情を思い出します。山瀬さんはつくば市の方で、朝日歌壇の常連さんです。田中熙巳さんの語ったことや彼の顔の皴から、核廃絶への願いを読み取って詠んだ歌とのことです。
田中さんのスピーチを聞き、核廃絶の実現に向けて山瀬さんが深く考えさせられたように、私もまた田中さんをはじめとして被団協の皆さんから「継承」という大きな宿題をもらった気持ちでいます。
今回、朝日歌壇賞に輝いた山瀬さんの短歌は、この「小さな白板」でこれまでに2回紹介させていただきました。
2022年11月 サラームとおはようさんが混じり合い列伸びていく朝のバス停
2023年10月 運動会引き直されし白線にトンボ止まりぬ翅を広げて
これからも新聞紙上で山瀬さんの短歌に出会えることを楽しみにしています。
1月16日(木)
南西の強風に斬るトビのはねあらがうことこそ飛翔のちから
大井 学
風を斬って飛ぶトビの雄々しき姿が目に浮かびます。そして、「あらがうことこそ飛翔の力」という言葉には、トビから教えられた発見があります。抵抗する、諦めずに抗(あらが)う、そのエネルギーによって鳥は飛べるのでしょう。人もそんな思いを抱き、逆境にも精いっぱい抗って、目標に向かって飛翔したいものです。
1月17日(金)
震災の中に生れたる幼な児の生くる希望の大き泣き声
高熊若枝
1月17日は、阪神淡路大震災から30年という日でした。テレビでも、様々な角度から、地震関連の番組が放映されていました。被災した方や、大切な方を亡くした方の30年を追ったドキュメントが心に残っています。また、今週の朝ドラ「おむすび」でも、東日本大震災に対して「何ができるのか」と悩む主人公の姿が描かれていました。
この短歌は、「短歌研究」2024年3月号に特集された「能登」の地震を詠んだ歌の一つです。作者は石川県小松市在住。描かれたのは、2024年1月のことでしょう。大震災の直後の出産。幼な児の大きな大きな泣き声が、命のエネルギー、希望の象徴のように人々の耳に響いたのではないでしょうか。震災を扱った短歌がたくさんある中で、生きる希望をこめて歌ったこの短歌を白板にしたためました。
先日購入した「短歌研究」2025年1・2月号には、震災の半年後に甚大な水害に見舞われた能登の短歌が特集されています。胸が塞がるような思いで読んでいます。自然災害は避けられないけれど、人災を招いてはいけないし、復旧・復興は絶対に急がねばならない、そんな思いでいっぱいです。