小さな白板2025 第7週

図書館入り口の「小さな白板(ホワイトボード)」、今週のラインナップをご紹介します。

2月17日(月)
波音のしない地球儀回しをりどこで止めても海に摑まる
       河野聡子

地球儀をブーンと回して、指で止めてみる…そんな遊びをやったことはありませんか? 何回止めても海につかまる、という作者。波音こそしないけれど、地球儀は、地球という星の大部分が海であることを教えてくれます。作者にとって、地球儀は退屈しのぎを上回る大事なアイテムなのではないでしょうか。

2月18日(火)
国よりも君が好きだよいつまでも君死にたまふことなかれ主義
       水野葵似

ちょっと不謹慎な感じもするこの短歌。このタイミングで白板に書いたのは、ちょうど前日の「文学国語」で寺山修司の短歌「マッチ擦るつかのま海に霧深し三捨つるほどの祖国はありや」のグループ発表を聞いたばかりだったからです。まるで寺山修司の「ありや」という問いかけに答えるような、加えて与謝野晶子にも答えているような短歌ですね。ふざけているなと思いながらも、今の日本が見えそうな短歌です。

2月19日(水)
紅梅からメール届いてコトシマダ夜ノワタシヲ撮ツテマセンヨ
       荻原裕幸

我が家の紅梅は見事に咲き誇っていますが、この短歌を読みながら、そうだ、夜の梅は見ていないなあと気づきました。梅からメールが来るという発想が楽しかったので、思わず私も脳内メールで紅梅に返事をしてました。「コトシマダ夜ノアナタヲ撮ツテマセンヨ ダツテ寒クテシカタナイカラ」。

2月20日(木)
わが孫は文豪アニメを入口に無頼派作家にはまりしと言う
       大滝慶作

孫のアニメ好きが祖父の本棚や古本探しといきなりマッチした、という意外で素敵な家族の接点。お孫さんの推しの作家は、太宰かしら、坂口かしらと、想像中。年の差を超え、今頃祖父と孫とはどんな会話を楽しんでいるんでしょう。

2月21日(金)
たましい用の水をください。この先の道の渇きにひとり行くため
       立花 開

一人で立ち向かう未来のために「たましい」を潤す水が欲しい。難関に立ち向かう決意を、作者は誰かに理解してもらいたいのかもしれません。こうした短歌も、悩める誰かを応援することになるかも、と思って書いた一首です。

2月22日(土)
うれいなくたのしく生きよ娘たち熊銀行に鮭をあずけて
       雪舟えま

土曜の短歌は、生徒たちに明るく元気に育ってほしいという願いを込めて。「熊銀行に鮭をあずけて」なんて、突拍子もない展開に、思わず笑みがこぼれます。女性への応援ソングみたいな短歌ですね。

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今日は、西遠に入学が決まった生徒の皆さんと保護者の皆さんに向けて、制服などの採寸と購入を行いました。皆様お疲れ様でした。

帰りに、駐車場でジョウビタキのメスさんに出会いました、陽の当たる石の上をちょんちょんと渡り歩くジョウビタキさん、とてもかわいらしかったです。