小さな白板2025 第8週

天皇誕生日の振り替え休日からスタートした第8週、高校3年生の再登校も始まり、卒業間近の空気に包まれた学園でした。「小さな白板(ホワイトボード)」をお届けします。

2月25日(火)
西行忌利休忌茂吉忌きさらぎのしとしと雨は日がな降ります
       青木昭子

2月にはこんなに「〇〇忌」があるのか、とびっくりして書き留めた短歌です。「短歌研究2024年5・6月号」で出会いました。
 ☆西行忌2/16 
 ☆利休忌2/28(旧暦) 
 ☆茂吉忌2/25
なのだそうです「望願はくは花の下にて春死なむ」の西行忌は有名ですが、そうか、千利休も斎藤茂吉も…と何だか如月を愛おしく思ったオオバでした。雨は降りませんでしたけれど。

2月26日(水)
卒業が近づいてきて心にもピンクの花びら二枚三枚
       松田わこ

この日は、ピンクシャツデーでもあり、高校3年生の再登校の日でもあったので、「朝日歌壇ライブラリ」からこの短歌を選んで書きました。心にピンクの花びらが二枚三枚と舞っている、卒業間近の心の中を想います。

ピンクシャツデーでも、いろいろなピンクをまとった生徒たちがいたので、2月の日めくりから、日本のピンク色を集めてみました。
 長春色
 一重梅
 梅重
 薄紅梅
 白梅色
 中紅花 
素敵なピンクが「日本の色」にもあります。色の名前には、梅が多いですね。
優しい色、あたたかい色、華やかな色…。
皆さんはどのピンク色がお好きですか?

2月27日(木)
ひと冬をひと冬なりに伸びておりはまなす色のセーターの襟
       北山あさひ

これも「ピンク色」にまつわる歌ですね。「はまなす色」は濃いピンク系です。ひと冬着こんだセーターの襟は、それなりに伸びて、自分のお気に入りであった「歴史」を語るようです。服の主の心のあたたかさが伝わってきます。

2月28日(金)
世界の隅っこをコツコツ掘っている人たちがいるからこそ、世界は豊かなんだということを伝えたい。    

伊与原 新

伊与原新さんは、「藍を継ぐ海」で第172回直木賞を受賞。授賞の喜びを語る記事の中で見つけた言葉を、白板に紹介しました。

「藍を継ぐ海」は5つの短編から成り立っています。それぞれの小説に出てくる人々は、流行や最先端の研究をして注目されている「時の人」ではなく、地道にコツコツとその土地の石や土、戦災遺品、生物などを研究調査している人々です。その地味な研究について、周囲から冷たく扱われている主人公もいます。

このインタビューの言葉を読むと、世界の豊かさの本質について考えさせられます。私はjこのインタビュー記事を読んで、本を購入しました。白板に紹介するなら、自分がちゃんと「藍を継ぐ海」を読み終わってから!と思い、ようやく2月末に読破しました。渥美先生は3番目の短編「祈りの破片」がよかったとおっしゃっていました。私は、「祈りの破片」も良いけれど、最初の「夢化けの島」も心に残りました。皆さんはどの短編がお気に入りですか?

3月1日(土)
現実認識能力が身についてないと、意気込みはたやすくしぼんでしまいます。自分の殻を打ち破るには、「自分の殻」の正体をしっかり見究めることです。
      入澤 崇

龍谷大学の学長を務めていらっしゃる入澤先生の旧ツイッターには含蓄のある言葉がたくさんあって、私は読むのを楽しみにしています。こちらは、昨年8月13日の呟きから。

休みに入ると「さあ、○○するぞ」とやたら意気込む人がいます。意気込みだけでは空振りに終わってしまいます。現実認識能力が身についてないと、意気込みはたやすくしぼんでしまいます。自分の殻を打ち破るには、「自分の殻」の正体をしっかり見究めることです。正しい努力のその先は楽しさへ。

   2024年8月13日 旧ツイッター

春休みを前に、「現実認識能力」を高めましょう。意気込みがしぼまないように。「自分の殻」の正体が分かれば、対処の仕方もきちんとわかるはずです。

入澤先生、ご退任の日も近いと聞き、寂しく思っております。今後も呟きでお会いできますように…。

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明日は、第119回創立記念式、第2部の記念コンサートは「西遠生のための演奏会」です。楽しみです!