巣立つ日 ~第77回卒業証書授与式~

3月5日、第77回卒業生が学園を巣立っていきました。

多方面からご来賓の皆様のご臨席を賜り、心より感謝申し上げます。
ご来賓の皆様、保護者・ご家族の皆様、在校生・教職員に見守られて、卒業生は凛として卒業証書を受け取りました。壇上の生徒たちは皆キリッとしていて、卒業証書を手渡す前にしっかりと私と目を合わせ、素敵な笑顔を見せてくれました。学年目標のとおり、限界まで挑戦した笑顔がそこにありました。

卒業証書を手渡しながら、心の中で「部活頑張ってたね」「学園祭お疲れさま」「正門で会えて楽しかったよ」「毎日一生懸命勉強してたね」と声をかけました。
卒業生の皆さんには、西遠の学園生活で得た「感性」「審美眼」を大事にして、これからの日々を歩んでほしいと願っています。大切なものは、決して「軽くて楽しくて楽なもの」ではなく、「重くて苦しくて困難なもの」だということを忘れず、「矜持」を持って、自らが歩む道を選択してください。そして、「鋼の玉を真綿でくるんだ女性」を理想像にして活躍されることを心から祈っています。

答辞では、岡本賞受賞の代表生徒が6年間を振り返りました。中でも、コロナ禍の中での焦りや悩みが語られ、卒業生たちの6年間の歩みの中でいかにコロナの日々が重いものだったかを改めて痛感しました。しかし、それを乗り越え、日々を大切にして歩んだ道程もまた、卒業生を大きく成長させたことがわかりました。友への感謝、家族への感謝…涙をこらえながら答辞を読み切った代表生に、会場からはすすり泣きが漏れ、私も涙を誘われました。素晴らしい答辞でした。

今年の卒業式では、偶然ですが二首の短歌が紹介されました。ここに再掲します。

答辞の中で紹介された短歌
 「本当なら今ごろは」ってみんな言う本当なんてどこにもないのに  上田結香
校長告辞で紹介した短歌
 なんにでも成れそうな日もあしたさえないような日も高校時代  江尻恵子

卒業式が終わってしばらくすると、雨が降り出しました。お別れの涙雨ですね。
第77回卒業生の笑顔と涙は美しかった。ご家族の皆様の嬉しそうなお顔も忘れられません。
卒業生の皆さんのご活躍を心からお祈りしています。
そして、ご家族の皆様、今日まで本当にありがとうございました。

午後の会議が終わり、外に出たのは午後5時でした。巌先生の胸像のもとに、創立記念日の花環と、今日の卒業式の花環が並んでいました。そこに、河津桜の花びらが一枚二枚ふうわりと降っていました。寂しいけれど、美しい光景でした。