小さな白板2025 第14週

図書館入り口の「小さな白板(ホワイトボード)」、今週のラインナップをお届けします。

4月14日(月)
花束を抱えて乗ってきた人のためにみんなでつくる空間
       木下龍也

電車が駅に止まり、たくさんの乗降客の動きがある中で、一人、花束を持って乗ってきたひとがいました。たまたま乗り合わせた乗客たちは、その人の花束がつぶれないようにさりげなく、でも懸命に空間を作ってあげる…。心があたたかくなる場面。とっても和む短歌ですね。いつでもそんな社会でありたいものです。

4月15日(火)
花水木の道があれより長くても短くても愛を告げられなかった
       吉川宏志

ハナミズキが満開の季節。男性はその並木道で愛する人に告白したのでしょうね。その並木の長さが、もっと長くても、もっと短くても「藍は告げられなかった」と断定してしまうところに、運命を感じます。

ハナミズキ

4月16日(水)
意味のない愛を大事に持ってたい意味のないこと大好きだから 
       佐藤橙

「意味のない愛」ってどんな愛でしょうか。無償の愛?片思い?…そんな愛こそ大事にしていたいという作者の気持ち。「意味のないこと大好きだから」という下の句は、厳然たる決意でありつつも、照れ隠しのようにも感じられます。

4月17日(木)
白鷺は脚さしいれてひきぬいてとぷとぷと春の川をあゆめる
      小島ゆかり

シラサギが川の中に一羽、ゆっくりと歩みを進めながら、小魚を狙っているのでしょうか。とぷとぷと、という言葉が新しい響きのように聞こえますね。
この短歌は、「短歌研究」の2024年5・6月号から。昨年春のこの号には、素敵な短歌がたくさん載っていて、実は白板にこれまでもたくさんこの号の短歌を紹介しました。そして、これからもきっと紹介は続くと思います。「短歌研究」すごい!

4月18日(金)
Keep on working every day, then you’ll be ready for whatever opportunity comes your way.
    Ban

突然英語が飛び出して、「何?どういう意味?」と言ってた生徒もいたとか…。そして、「Banって誰?」という声も。これだけで分かった人がいたら、逆に「すごい!」と思います。答えは、19日の白板へ。

4月19日(土)
日々鍛錬し、いつ来るともわからぬ機会に備えよ。
     伴 虚無蔵

18日の日本語訳です。「日々鍛錬し、いつ来るとも分からぬ機会に備えよ」と大月ひなたに説いたのは、映画村の斬られ役俳優 伴 虚無蔵でした。と言えばお分かりでしょうか。今、再放送中の朝ドラ「カムカムエブリバディ」の一コマです。虚無蔵(松重豊)にそう言われたひなた(川栄李奈)は、この言葉に背中を押されるように、日々英会話の練習を積んだのでした。そして、その先には素晴らしい出会いが待っていました。
生徒の皆さんにも、ぜひ、いつ来るか分からない機械に備えると思って、日々諦めずに鍛錬(特に勉強!)を続けてもらいたいです!