今年は、太平洋戦争が終わって70年目の節目の年です。
戦争を知っている方々が年々少なくなっていく中、
西遠では、毎年5月に「殉難学徒慰霊式」を行っています。
戦争末期の1945年4月30日・5月19日の浜松への空襲は、
動員学徒として工場で作業に従事していた西遠の生徒29名と引率教員1名の命を奪いました。
西遠では、この悲しい歴史を決して忘れまいと、
「愛の灯」像を建立、毎年5月に全校をあげて「殉難学徒慰霊式」を今も続けています。
正門を入ってすぐのところに立つ「愛の灯」像。
作者は、浜松で活躍された彫刻家の水野欣三郎氏です。
像の下には、この像の制作中に西遠を訪れた若い僧侶が岡本富郎校長に託した「般若心経」が収められています。
1959年、「愛の灯」像の除幕式が行われました。
戦後50年を迎えた時、慰霊式では50年忌の法要が営まれました。
その翌年から、「殉難学徒慰霊式」は、生徒会の手に移り、生徒が中心となって企画・進行されるようになりました。
生徒たちが後世に残したい行事として、継承を申し出たのです。
毎年、たくさんの折鶴と花が慰霊式の舞台を飾ります。
花は、全校生徒、そして先生方が、自宅に咲いた花などを持ち寄ります。
浜松で5月のある日、西遠生が手に手に花を持って登校していたら、それが慰霊式の日です。
折鶴は、一人が一羽以上を折り、生徒会室に集められます。
その鶴をどう飾るか、
毎年生徒会執行部が頭をひねり、
試行錯誤の末、舞台を作り上げます。
その舞台を振り返ってみましょう。
2011年の慰霊式
2012年の慰霊式↓
2013年の慰霊式↓
そして、昨年。2014年の慰霊式↓
祭壇を作り上げる生徒会執行部の思いはいつも同じです。
戦争の犠牲となった先輩たちへの慰霊を込め、平和を誓う心で、毎年、心を込めて舞台が出来上がるのです。
今年の殉難学徒慰霊式は、5月14日(木)に行われます。
5月19日の工場への爆撃で亡くなられた鈴木さださんの妹さんが、
遺族のお一人として、慰霊式に参列してくださることになりました。
また、慰霊式を前に、中学1年生に戦争の体験を語ってくださる卒業生や、地元の皆さんもいます。
貴重なお話を聞けることに感謝致します。
今日、昭和20年の卒業生の方から、学校にお電話を頂戴しました。
当時、東洋木工に学徒動員で働きに行っていたのだそうです。
河合楽器に行っていたご友人を亡くされたその方は、
「今は車椅子なので学校には行けませんが、
西遠の皆さんが今も慰霊式を続けてくださっていることが本当にうれしくて涙が出ます。
どうしてもお礼が言いたくてお電話しました」
とおっしゃったそうです。
また、生徒に戦争体験をお話してくださる卒業生の方は、
「戦争の悲惨な体験を今、きちんと語らなくては」という思いで、
学校にお手紙をくださいました。
戦争の語り部の方々と、浜松の戦災の記憶を後世に残そうと活動している卒業生もいます。
たくさんの卒業生が、今も平和への熱い思いを抱いています。
戦後70年の殉難学徒慰霊式を迎えるにあたり、
私たち西遠に集う者は今一度学園の歴史を振り返り、
しっかりと平和の意味をかみしめていきたいと思います。