「学園祭を振り返る」第2回は、今年初めてホームルーム展に挑戦した中学3年生の歩みについて。
昨年度の親子PTAで、私は早々と
「学園祭のホームルーム展のテーマ探しは今から始めましょう!」
と中学2年生に呼びかけました。
その時、2年生の皆さんの目がきらきらとしていたことを覚えています。
今年度がスタートし、学年主任の早織先生も
「ホームルーム展はアクティブラーニングだ!」
と生徒たちのやる気に火をつけてくれました。
4月の企画書、5月のプレゼン、6月のパネルディスカッション。
初めてのことばかりでしたが、3年生は各クラスとても積極的に取り組んでいました。
そして、取材をこなし、夏休み明けの判定テストも終えて、本格的な準備がスタート。
計画的に運ぶことの難しさや、全体を見ることの大変さも学びながら、
果敢にホームルーム展を作り上げました。
直前の9月26日の講堂朝会で『学園祭で何を学ぶか』という話をした私に、
3年生からこんな感想が届きました。
HR展を作っていくうえで何の教科の勉強が役に立っているか。国語の相手に伝える力、漢字、数学の計算、理科のどのようにしたら巨大製作物を安全に作ることができるかという考え方、社会のインタビュー、家庭科の裁縫、技術の工具の使い方、美術の絵を描く力など、全教科の学習を使っているんだと実感しました。
そんな「教科横断型の学習」を実感しながら幕を開けたホームルーム展。
4クラスの内容を振り返ってみましょう。
菊組「冷凍食品」
菊組は、身近な冷凍食品を取り上げると決めてから、地元の企業を訪ねるという「足を使った取材」を敢行しました。
何でもインターネットで揃う時代ではありますが、地元の、西遠のすぐ近くにある会社を見学させていただき、
自分たちの生活のすぐ近くにあるものをきちんと再確認できたことは、素晴らしい学びであったと思います。
また、来場者の皆さんも、知っているようで知らなかった冷凍食品の歴史や現在を学ぶことができたのではないでしょうか。
決して派手なテーマではないけれど、地に足をつけた展示研究内容であったと思います。
月組「BACK TO THE FUTURE」
月組の一人の集会記録に、こんな言葉がありました。
私のクラスは今回、巨大製作物がデロリアンで、とても大変だけれど、大人数で協力すると、作業もスムーズに進み、先生などに聞きながら、だんだんと完成に近づいてきました。一人一人の得意なことなど、今まで知らなかった面を見ることもできました。
この感想のとおり、デロリアンも見事に作り上げ、来場者をアッと言わせました。
さらに、夏休みに出会った新聞記事で、
デロリアンを、ごみを資源にして走らせるプロジェクトの存在を知り、
これを積極的に展示に生かしました。
「はばたけtomorrow」にふさわしいテーマの発展を実現させたわけです。
HR展は動きだしてからも、どんどん進化するものだということを教えてくれた3年月組でした。
雪組「かぐや姫」
「竹取物語」に取り組むと聞いて、正直「テーマが地味じゃないかな」と思ったのですが、
学園祭当日、3年雪組の教室を訪ねた時、
この古典文学をクラス皆でしっかりと読み解いて、
たくさんの展示物で立体的に再現してくれたこと(蓬莱の玉の枝も、日鼠の皮衣も、想像力を駆使して!)が、
国語教員の一人としてとても嬉しく、また頼もしく、誇らしく感じられたのでした。
真面目なものを、興味深く・・・、
これぞホームルーム展の原点だな、と思いました。
そして、高校生のたくさんのクラスを上回り、
みごと第2位、そしてお客様大賞を獲得したのが、
3年藤組「JAL」でした。
全ホームルーム展の中でも、卓越したプレゼンテーション力を発揮、
みんなJALの職員ではないかと思わせるようなホームルーム展でした。
夏休みに行なったJALへの取材もしっかりと生かして、
教室を回ると空の旅もできるような、素敵な空間を作り上げました。
ロッカーにも工夫が…↓
我々大人からすると、航空機事故の数々も記憶に新しいのですが、
そうした事件や事故もしっかりと説明に生かし、
大人をうならせる内容の展示と説明でした。
お客様大賞も、納得の受賞です!おめでとう!
初めてのホームルーム展を経験し、可能性を開花させ、大きく成長した3年生たち。
来年の大きな羽ばたきにも、大いに期待できそうです。
追記
3年月組は、映画の関連で30年前の西遠についても調べてくれました。
30年前を知る先生方はいろいろインタビューを受け、
懐かしさを感じたのでした(私も…)。
西遠の歴史にも興味を持ってくれたクラスが現れたことで、
来年110周年を迎えるにふさわしい歴史の勉強ができたのではないでしょうか。