【第1章】3 サステナビリティ教育の手段としての給食

このように給食は持続可能な開発の鍵になりますが、ここからは「世界の扉」になりうる給食の可能性を探っていきたいと思います!

【給食から何を知ることができるのでしょうか。先生と星子さんが給食に関係した社会問題について話しているようです。】

しょく先生
しょく先生

給食には時々チョコレートが使われることがあるね、チョコレートはカカオ豆からできているのだけれど、それがアフリカの子供たちによって作られていることは知ってる?

星子
星子

たしか、それは児童労働と言われていましたよね。
聞いたことはありますが、よくわかりません…先生教えてください!

児童労働とは、義務教育を妨げる労働や、法律で禁止されている18歳未満の危険・有害な労働のことです。世界には、1億5200万人、こどもの10人に1人が児童労働をしています。

児童労働者が最も多い地域はアフリカです。
発展途上国では、プランテーション農業での農業関連の労働が、工業先進国では、工場などでの労働が多いです。

児童労働の産業別割合
IOL2013Marking Progress against Child
Labourを引用し作成
ACEホームページhttp://acejapan.org/を引用し作成

しょく先生
しょく先生

それでは、児童労働を解決するために、私たちには何ができるでしょうか。

星子
星子

私はこのような問題をみんなが知ることで、長期的な解決を図るための高い意識を育てることができるのではないかと思います。
目の前にあるものにサステナビリティ(持続可能性)が隠れているのだと分かったので、これから積極的に学んでいきたい!と思いました。

給食は「世界を知る」ための教材になります!

星子
星子

そういえば先生、給食で食べた納豆のパックに”この食品は遺伝子組み換えではありません”と書いてありました。そもそも遺伝子組み換えって何ですか?

しょく先生
しょく先生

遺伝子組み換えとは、ある遺伝子に他の遺伝子をつなぎ合わせて新しいDNAをつくる科学技術です。油の原料が遺伝子組み換えされているものもあります。
科学技術は、すでに食品にも取り入れられているのですね

今の給食に科学技術はどう取り入れられるでしょうか。

科学技術① 代替食品

植物性、動物性の細胞や原材料を利用して人工で作られる食品のことです。
環境に配慮して、本来と変わりない栄養素を取り入れ、確実に大量生産を行うことを目標としています。

給食は、子供たちが一日の栄養を取るためにとても大切です。
代替食品が進化したら、納豆やみそ汁・牛乳に含まれるタンパク質やカルシウム、食品自体が人工で作られることになる
かもしれません。

科学技術② 人工培養肉

牛や豚などから細胞を採取し、培養することでできる人工肉のことです。
菜食主義やアレルギー、宗教など様々な要因でお肉が食べられない人も、等しくタンパク質を摂取することができることを目標としています。味と見た目は限りなく肉に近いものですが、本物ではありません。

本来の肉の生産は、動物の飼育のために大量の水や土地を消費したり、動物から出る二酸化炭素が地球温暖化に影響したりと、環境に悪影響を与えます。
人工肉は動物の飼育を必要としないので、環境への負担を軽減できると考えられます。
今後、給食で食べているハンバーグなどの肉食品は、徐々に人工肉に変わるでしょう。

いつか、本当の肉を食べなくなる時が来るかもしれません。

しかし、科学技術で食品をつくるにはたくさんのお金が必要です。給食に導入したとしても、家庭で賄えるのか、という課題がでてきます。
また、本当に安全なのか、環境に配慮されているのか、こどもが以前と変わりなく食べられるのか、など議論すべきことはたくさんあります。
さらに、今食べている食べ物のなかには、将来なくなってしまうものもあるかもしれません。

科学技術の進歩によって、給食を含め、私たちの未来の食はどのようになってしまうのか、様々な角度から考えてみることが大切です。

給食は「未来を考える」ための教材になります!

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