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※ 掲載する写真はすべて許諾を得ています。
みなさんは最近ツバメを見ましたか? そしてツバメが減少しているのを知っていますか? 実はツバメは「準絶滅危惧種」なのです。 そこで私達はツバメのなぞを追ってみました。 ツバメのことを知って、ツバメが住みやすい環境のことを一緒に考えてみてください
ツバメの一生を追ってみよう
春:親ツバメは主に繁殖行動と子育てをする
⬇
オスは良い条件の場所を確保し、その後は巣作り、産卵、子育て、
巣立ちをする
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夏:ツバメたちは、集団でねぐら入りし、水辺のヨシ原や竹やぶで過ごす
秋〜冬:気温が低くなる冬を過ごすために暖かい東南アジアに向けて出発し、そこで越冬する
2月下旬:再び春が始まると、東南アジアから日本の九州南部にやってくる
※1
減少理由を追ってみよう
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◎農村部の過疎化による農業衰退、農家の高齢化 ➡農耕地の減少
◎農耕地
➡エサとなる昆虫が生息する水辺がある
➡巣を作るために必要な土と草を採取できる場所である
農耕地の減少=ツバメの生息地の減少=ツバメの減少
※2
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ツバメを襲うカラスの増加
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➡ カラスは人間が出すごみを
餌にして都市部で増えている
⬇
「人の生活がツバメの減少に関係している
可能性がある」と言われている。 ※3
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①地方の過疎化
⬇
空き家が増える
⬇
人間の出入りがないため、巣を作ってもカラスに襲われる
②都市に人口集中
⬇
十分な緑地環境や水場がない
①、②より
都会にも地方にもつばめの子育てに適する環境がなくなってきている
※4
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昆虫の減少
⬇
ツバメが食べる飛翔性昆虫の過半数が双翅目類(そうしもくるい)
双翅目類の中には絶滅危惧種になっているものもある
⬇例
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オオナガハナアブ
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ニホンアミカモドキの幼虫
※5
浜松、日本の取り組みについて追ってみよう
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◎浜松では観察マップを作っている
⬇
市民が周囲の自然に関心を持つため ※6
◎ 私達も観察マップを作ってみました
⬇
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日本野鳥の会では
①「ツバメの子育て状況調査」
②「ツバメの巣マップ」 を作っている
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「ツバメの子育て状況調査」
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ツバメの子育ての現状を詳しく知るため
「ツバメの巣マップ」
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全国のツバメの子育ての情報を比較する
①、②は多くの情報を共有して、ツバメの子育ての傾向やツバメを
取り巻く環境を分析する目的もある
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日本では『鳥獣保護管理法』という法律を定めている
⬇
その中で都道府県の許可がなければ卵や雛がいる巣を壊すことは違法とされている
⬇
違法した場合一年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる ※7
生き物の保護をしている「特定非営利活動法人サンクチュアリエヌピーオーの馬塚丈司さん」にインタビューさせていただきました
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インタビューさせていただき印象に残った言葉
「ツバメの巣はもともと「幸せがくる」や「幸運がくる」という意味を持っていた」
⬇
「最近ではツバメの巣があると泥やふんで家が汚れてしまうという理由で巣を壊されてしまう」
「最近、農作物に使う肥料がプラスチックに包まれ、適量が出る仕組みになっている
プラスチックの中の肥料がなくなるとプラスチックがごみとなりツバメに影響を及ぼしてしまう」
ツバメの種類を追ってみよう
イワツバメ
平地から山地にかけて生息する、昆虫を食べる
オーストラリアツバメ
オーストラリア南部と東部のさまざまな生息地で繁殖
特徴:おなかの色が真っ白ではなく、ベージュ、褐色がかった灰色など
チャイロツバメ
ヨーロッパ南部及びアフリカ北西部から旧北区にかけての山地で繁殖
同じ属の他の3つの種と混同されることがあるが、他よりは大きく、尾の色は明るく、羽の色調も異なる。
※8
この他にも世界には80種類以上存在する
世界のツバメを追ってみよう
フランス、オランダ、スペイン、アメリカ、東京にも保護団体があり、寄付を受け付けている
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フランス:人々のツバメ保護に対する意識を高めるために啓発活動、種の会議の開催、リーフレットの配布、説明パネル、絵や写真のコンテストの実施、学校でツバメに会いに行く遠足の実施、モニタリング調査の実施、人工の巣の作成
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アメリカ:啓発活動として壁に鳥の絵を描く、寄付、人工の巣を作る、Audubon’s State and Local Campaignsで地元の代表と会議
南アフリカ共和国、スペイン、イタリア、イギリス、オランダなどには保護区がある
※写真:5
ヨーロッパなどでは法律でツバメの巣を壊すと、罰則を課せられる
※9
まとめ
世界の環境問題と関わる生物の絶滅の問題。私たち人間が責任を取り、できることはなんでしょうか。
このHR展を通して・・・
◎多くの人にツバメを含め環境について関心を持ってもらうこと
◎可能な限り、巣の下に板やネットを貼ってツバメをカラスから守ること
◎浜松市の『市民が自ら「調べる」まち』の活動に参加していくこと
◎農作物に使う肥料は、プラスチックなどを包まない生態をおびやかさない肥料を使うこと
◎海外の政策を取り入れること
◎人工の巣を天竜の木を使って作ること
以上のことを意識し、浜松を流れる馬込川に以前のような全国有数のツバメのねぐらを取り戻すことが大切なのだと考えました。
参考文献、出典
※1 「日本ツバメ便りーツバメが来た日」
※2 日本野鳥の会、浜松市
※3 つばめの秘密の本を読んで 日本経済新聞
※4 日本野鳥の会
※5 「いきものログ」環境省自然環境局生物多様性センター、「BBC NEWS/JAPAN」、「多摩の動物群
像」金井郁夫著」 写真:一寸のハエにも五分の大和魂・改、都立大動物生態
※6 浜松市役所のホームぺージ、
※7 日本野鳥の会
※8 日本野鳥の会、オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド、eBird
※9 スペイン観光公式サイト、Audubon、世界遺産オンラインガイド、andorinha azul、
LPO Ile-de-France
※写真:1 日本野鳥の会
※写真:2 日本野鳥の会
※写真:3 日本野鳥の会
※写真:4 サンクチュアリージャパン
※写真:5 日本野鳥の会