皆さんはこのリスに見覚えはありませんか?
このリス、以前まで浜松城に大量にいた「クリハラリス」という外来種なのです!リスって聞くととても可愛いイメージがあると思いますが、実は、、、
人々と野生動物の危機!?
私たちは今回野生動物について調べました。同じ地球上に、私達人間は様々な動物たちと共存しています。しかし、現在ではその共存関係が崩れてしまいそうな状況に陥ってしまっているのです。
今回私達はどうしたら動物たちと共存していけるのかを考えていきます。
人間が野生動物たちを困らせている?
今まで人間は様々なものを発明し、文明を作り上げてきました。その中で問題となるのが環境破壊です。
下の図は環境省のサイトを元に作成したレッドリストカテゴリーと日本国内において絶滅の恐れのある生き物の割合です。
円グラフから、国内全体の2〜3割が絶滅の恐れがあることがわかります。世界的に見ても既知の全生物(約175万種)のうち、3割(65,528種)が絶滅危惧種に選定されています。
絶滅してしまった動物の数は時代と共に増えています。1年間に絶滅したとされる種の数は1975年〜2000年時点で40,000種にもなります。
このように絶滅種となった動物は年々確実に増えており、その原因のほとんどが人間による森林破壊や密猟・乱獲、外来種の持ち込みによる侵略といったものです。人間の影響によって野生動物たちが減っており、生物多様性が徐々に失われています。
野生動物による人間への被害
浜松市では今、南米が原産の大型のネズミであるヌートリアの目撃情報が相次いでいます。水辺を好む傾向があり、河川や水路、ため池でよく目撃されるようです。彼らは草食かつ食欲旺盛なため、水辺近くの植物やイネ、レンコンなどの田畑の農作物を食い荒らしてしまっています。
ヌートリアの被害は農作物の食害だけでなく、噛まれてしまうことや、それによってレプトスピラ症という発熱や頭痛などの症状の出る人獣共通感染症(人と生き物両方に感染する病気)に感染する可能性があります。
獣害や食害は全国的に問題になっています。これらの問題を解決するために地元の猟友会や市の林業振興課などが問題解決に取り組んでいます。
外来種の影響
私達が住んでいる浜松市では様々な動物が暮らしています。しかし、もともといた在来種たちが減少しているのです。
この写真は最初に見たリスと同じクリハラリスと呼ばれる外から来た外来種です。とっても可愛いリスなのですが、実はもともといた在来種であるニホンリスはもちろん、私達人間にも大きな影響をあたえています。
上のイラストのように、クリハラリスはニホンリスからすみかを奪ってしまいます。このように、日本固有種の動物たちが外来種によってすみかやエサを奪われ、絶滅の可能性に追いやられているのです。
クリハラリスは私達人間にも被害を与えており、柑橘類の農作物を食べてしまったり、電話線などをかじってしまったりと多くの被害があります。クリハラリスは駆除活動により、市内の最盛期である1万頭から5千頭まで減りました。実際、今年の8月に浜松城公園に行ったところクリハラリスを見ることはありませんでした。しかし、長崎や横浜など多くに地域でクリハラリスはまだ被害を出しているのが現状です。
←こちらの地図はクリハラリスの2020年3月時点での生息分布図です。
クリハラリスだけでなく、ヒアリやアライグマなど、様々な外来種が来たことにより在来種の動物が存命の危機に陥っているのです。
共存とその先へ
外来種と在来種、そして私達人間がこの世界で共に共存いくためには何ができるのでしょうか。まず、外来生物との付き合い方について、考えていきましょう。
日本には「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」があります。特定外来生物は前述した通り、生態系への被害や人間への被害があります。その被害を防ぐために制定されたのが上の図のような法律です。
また、「外来種被害防止三原則」というものがあり、「入れない」(外来種を外から入れない)、「捨てない」(飼育、栽培している外来種を捨てない)、「拡げない」(既にいる外来種を他の地域に拡げない)とされています。これらの法律と三原則を正しく理解し、実行していくことが大切だと言えます。
次に、野生動物たちとの関わり方、共存のあり方について考えていきましょう。
上の写真は浜松市環境部環境政策課が2018年に出したパンフレットの一部です。これは浜松市が生物多様性をもとに理想とした浜松市の地図です。私達はこのページをもとに野生動物たちとの共存をテーマに「未来都市」の提案をします。
この図はその全体像とそれを地域ごとに分けたものです。浜松市役所の環境課を取材し、「里山」「漁村」の大切さを学びました。
里山、漁村とは、街と山(海)をつなぐ、いわば中間管理職です。現在、目次3「野生動物による人間への被害」で書いた通り、山から街へ動物たちが降りてきてしまったり、海の場合なら魚や貝の乱獲により個体数が減少してしまったりしています。それらを防ぐことができるのが里山や漁村なのです。里山、漁村を活性化させることが野生動物たちとの共存への一歩だと考えます。高齢化によって活気を失ってしまった里山、漁村をもう一度活性化させることが今後の国全体の課題になると思います。
個人の取り組みとして、環境破壊につながるゴミのポイ捨てをしないこと、野生動物を保護したりゴミ拾いなどをするボランティアに参加すること、野生動物へむやみにエサをあげないことなどがあげられます。浜松市では中田島砂丘でウミガメの放流を行うサンクチュアリNPOが開催している子ガメ観察会が8月にあります。ウミガメの子供は生存率が低いためそれを支えているのです。
野生動物へエサを与えてしまうことは人間への被害にも繋がります。実際、クリハラリスにエサをあげてしまう人が多く、リスが余計に増えやすい状況になってしまったり、人馴れし危害を加えやすくなったりしてしまいます。
こうした取り組みを少しずつでもやっていくことがこれからの未来、野生動物たちと共存していくために重要なことだと思います。
まとめ
今回私たちは野生動物をテーマに野生動物と人間の共存のあり方について考えてきました。今回わかったことはこれからの世界を考えていく上でとても重要なことだと思います。私達が今回調べ、わかったことを次のように簡単にまとめました。
- 現在、野生動物たちと私達人間は互いに困らせてしまっている。
- 人間は環境破壊や外来種の持ち込みによって生態系を破壊してしまっている。
- 野生動物は人間に危害を加えてしまったり、農作物を食べ荒らしてしまっている。
これらの問題をを解消するための案を次にまとめました。
- プラスチックなどのゴミをポイ捨てしない
- 里山、漁村など、山や海を管理する地域の活性化
- ウミガメの放流やゴミ拾いなど、ボランティア活動に参加する
- 外来種被害対策3原則と外来種に関する法律を守る
- 野生の動物へむやみにエサをあげない
一人一人の意識で変えられることも多く、こういった呼びかけによって野生動物たちとの共存ができる未来を目指していきたいです。