【第1章】1 地元の持続可能性と給食の役割

「SDGs未来都市・浜松」

多様なルーツを持つ人々が生きやすい社会を目指す浜松市は、全国20政令指定都市の幸福度ランキング(2018年 日本総合研究所発表)において総合ランキング全国1位に輝きました。都市部と中山間地域が共存する「国土縮図型都市」の資源や、多数の大企業を生み出してきた「やらまいか精神」を生かして環境に優しいまちづくりに先進的に取り組んできた、自慢の故郷です。

そんな浜松市がこれから予期せぬ危機事象をも乗り越え、持続可能な発展を遂げていくために、まずはレジリエンス(強靭性)に注目してみたいと思います。

「コロナ禍の給食」

星子
星子

コロナの休校中に学校給食がなく なったことでたくさんの食糧が余って しまったそうです。
私は最近、困っている給食関連事業者を応援するキャンペーンに参加しました。
そのキャンペーンはフードロスの削減に大きく貢献したようです。

しょく先生
しょく先生

それはいいですね。
その通り、給食用食材のロスは深刻な問題でした。しかし一方で、給食がなくなったことで栄養バランスの良い食事がとれずに困っている子供もいるのです。

給食はセーフティネット
◎子供たちが栄養バランスの良い食事をとる機会を1食分失った.。
→ 食生活が乱れて体調を崩す。
◎食事を作る回数が増え家計が厳しくなる世帯がある。
→栄養不足で痩せてしまう子供もいる。

平等主義社会の基盤の一つとしてフィンランドの学校では、コロナ禍で在宅学習を行っている間も無料給食の提供を継続している。人との社会的距離を保ち、手洗いの指導や同時に食べる人数を制限するなどして行っている。

星子
星子

感染症の波が再び襲ってくることや、新たなウイルスが出てくることが自明と言われているけれど、もしそのような危機時になったらどうすればよいのでしょうか。

しょく先生
しょく先生

給食に代わる持ち帰り食材の配給や食料の宅配、現金または食料引換券の提供などのようなシステムを整えておくことが大事だと考えています。


「災害大国の給食」

しょく先生
しょく先生

危機事象という点に注目すると、実は給食は、度重なる災害の経験抜きには発展しなかったのです。

相次ぐ災害の中で
・行政主導の給食は関東大震災がきっかけで始まった
・1953年に日本列島を襲った大水害では給食を実施していない地域で欠食児童が社会問題化した
・同時に、給食室は、炊き出しの拠点となり被災者の救助に貢献した

星子
星子

浜松市には近いうちに南海トラフ大地震が起こると予測されていますよね?

しょく先生
しょく先生

そうなんです。SDGsゴール11が掲げる「災害に強いまちづくり」の達成のためにも、災害時の「給食」の役割を議論する必要があるんです。

危機管理における給食の役割
★大人が日々の暮らしを立て直すことで精一杯である災害時には、子供の食生活を守ることが難
しい
◎「セーフティネット」としての給食の役割を踏まえるならば災害復旧において、給食施設の復旧優先順位をもっと上げるべき。
       ↑↓
◎衛生管理の点で、災害時に給食室を使用することで、学校が再開されたときの給食に影響が出る。浜松市では災害時に給食室は使用しない。

星子
星子

最大クラスの被害が浜松市を襲ってきてもきちんと対応し、持続的な力を発揮するために給食は大きな鍵を握るんですね!

【給食は禍の中の福】

日本が重化学工業の発展とアジアへの膨張を急いだ時代(19世紀後半から敗戦まで)、社会的弱者を組み込む教育制度は手付かずのままであったが、そこに給食は滑り込み、被災地や飢餓地帯を中心に始められ重要性が認められるようになった。給食の歴史をたどると、子供達のいのちを明日につなぐという根源的な役割が見えてくる。貧困と災害に背中を押されるように発展してきた給食は、貧困と災害の事後、対応だけでなくそれらの備えとしても機能し、今もしている。

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