私たちは、様々な立場の「直接的」に犬猫の命を救っている方々のお話を伺ってきました。
まずは、「動物福祉(アニマルウェルフェア)」という犬猫の新たな考え方について知りたいと思い、ドッグトレーニングインストラクター兼ドッグビヘイビアリストである鈴木さんからお話を伺いました。
Q.鈴木さんはどのような資格をお持ちですか?
A.CABC伴侶動物行動治療カウンセラー(MSc レベル)
CABC伴侶動物行動治療カウンセラー(PG Dip レベル)
CPDT-KA 米国CCPDT認定プロフェッショナルドッグトレーニングインストラクター
ペット栄養管理士の資格をもち、ドッグビヘイビアリストとして活動しています。
詳しい内容はこちらをご覧ください。
Q.ドッグビヘイビアリストとはどのようなお仕事なのですか?
A.簡単に言うと、犬の行動心理カウンセラーです。人間で言うと、「臨床心理士」が一番近いです。
犬の行動学、認知行動学、心理学などを元に犬の心因性の問題に対処することができる専門家です。
双方のクオリティ・オブ・ライフ向上のお手伝いをするのがドッグビヘイビアリストです。
Q.犬の行動学について詳しく教えて下さい。
A.簡単に言うと、犬の気持ちを考える学問です。犬の行動一つ一つを研究することで、その時に抱いている犬の感情に近づくことができるという内容です。
例えば、吠える、排泄、噛みつくなどの問題行動と言われる、飼い主が困る行動を犬猫の気持ちから考えることによって矯正をしていきます。
A.犬の発達心理学の中に、「社会化期」と言う、生後1ヶ月から3ヶ月までの期間があります。この期間は様々なことを学習し、記憶する神経が発達します。この間にいかに沢山の犬に会ったり、周りの生活音に触れさせたりするかによって、将来的に問題行動を起こさない犬に育つかどうかが決まる大事な期間です。
その時期を逃してしまうと、他の犬に怯えてしまったり、なつかなかったりする犬になってしまいます。
近年、ペットショップでは「社会化期」が注目されるようになり、犬のケージの中で車の音を流したりしている場所も年々増加しています。
A.「社会化期」の重要な時期に「社会化」をさせてあげることが、将来的に飼い主が飼育放棄をしてしまうのを防ぐために必要なことです。
その機会を作るために、ドッグギャラリーさんと一緒に「パピーパーティー」という子犬のためのしつけ教室を開いたりしています。
また、問題行動のある保護犬をしつけして、引き取り先を見つけやすくしています。
続いて、動物福祉の考え方について教えていただきました。
動物福祉とは、一般的に人間が動物に対して与える痛みやストレスといった苦痛を最小限に抑え、動物の心理学的幸福を実現する考えのことを言います。
動物福祉自体は抽象的な考え方ですが、具体的な基準・目標として「5つの自由」が国際的に認知されました。
1.飢えや渇きからの自由
健康維持のために適切な食事と水を与えること
2.痛み、負傷、病気からの自由
怪我や病気から守り、病気の場合には十分な獣医医療をすること。
3.恐怖や抑制からの自由
過度なストレスとなる恐怖や抑圧を与えず、それらから守ること。
動物も痛みや苦痛を感じるという立場から肉体的な負担だけでなく精神的な負担もできる限り避けること。
4. 不快からの自由な行動をする自由
温度、湿度、照度などそれぞれの動物にとって快適な環境を用意すること。
5.自然な行動をする自由
各々の動物種の生態・習性に従った自然な行動が行えるようにすること。群れで生活する動物は同種の仲間の存在が必要。
出典 環境省ウェブサイト
この、5つの自由がもっと日本に浸透し、常識にすることができれば、人間と動物の双方にとって好都合な関係を作ることができると思います。
Q.鈴木さんの立場から見て、どうやったら殺処分を減らすことができると思いますか?
A.ペットを飼う時はまずその種の特性を勉強してから飼って欲しいです。例えば、ラブラドールは昔、何のために飼われていたか知っていますか?
ラブラドールは昔、獲物を回収するために飼われていました。そのため、物を口に加えて運ぶことを得意としています。
現代で飼われているラブラドールは、問題行動として、なんでも口にくわえることが多く挙げられます。ラブラドールの昔を知ることで、犬種特性を理解しながらしつけをすることができます。
このように、ペットを飼う前に、しっかりと勉強することが必要不可欠です。
まずは、その種の特性をしっかり勉強することが、将来的に飼育放棄されるペットたちを防ぐことができるということなんですね!
貴重なお話をありがとうございました!