1、ごみ・騒音
ゴミ出しの問題,騒音の問題は外国の方々と地域,またはご近所とのトラブルとして後を断ちません。ゴミ出しの問題の理由については分別の仕方がわからない,ゴミ出しをしてもよい曜日を知らないなど,外国の方々の理解不足があげられます。騒音については夜の電話の声が大きい,大音量の音楽を流している,バーベキューを庭でしている音がうるさいなどの問題点があげられます。
しかし,これらは全て外国の方々だけに問題があると言えるでしょうか?
ゴミの分別については,ゴミを出してもよい日は私たちが教えたり知らせたりしないと外国の方々には伝わりません。また,騒音の問題は,外国の方々が母国と電話をする時,時差があり電話をするのが夜遅くになってしまうことが理由として挙げられます。さらに,大音量の音楽を流すことについては母国ではそれが普通であるということもあります。バーベキューについては外国の方がお昼に庭でしているというだけで近所の人が迷惑していると苦情があるそうです。
これらのことを私たちはどれだけ理解していたでしょうか?
文化の違いや外国の方々への偏った見方,コミュニケーション不足によって,これだけの問題になっているのが現状です。言葉にしないと伝わらないことはたくさんあります。外国の方を特別視せず,日頃の挨拶や簡単な会話からコミュニケーションをとって情報を共有するなど,できることから始めて,外国の方々も私たちも心地よく過ごせるよう,まずは私たちが外国の方々への理解を深めることが大切です。
2、多文化教育…?
ここ数十年,多文化教育の需要がとても高くなっています。多文化教育とは国際関係や自分たちとは違う文化を単に理解するだけでなく,国際社会の一員として主体的に行動できる人材を育むための教育です。
小学校などでも取り入れられている多文化教育ですが,アジアの方々や南米の方々を拒み,欧米の方々を講師としたいと希望する学校が多いそうです。しかし実際には日本にいる欧米の方々はアジア・南米の方々よりも少ないです。
多文化教育を行うにあたり,私たちの身の周りにいる外国の方について理解することが大切なのではないでしょうか。
3、労働者
外国人労働者をめぐる課題はゴミ問題や教育をめぐる問題と同じく,外国人労働者の数が増えるにつれて多様化しています。
これらは,外国人労働者が自分の国と異なる日本の文化に適応することができるのかや,家族で来日または日本で家族をつくった場合,子どもは日本の小学校で日本の文化に馴染めるのかなどの問題につながっていきます。
また,制度をめぐる問題もあります。例えば,外国人技能実習生制度はそもそも日本国内における労働力確保のための制度ではないにもかかわらず,実際には外国人労働者確保のための制度となっていることです。
若年層が減り日本人の労働者の数が減っているなか,私たちは外国の方と長く,一緒に働いていくことが求められています。
参考:張 一成他2名 「外国人労働者をめぐる問題とその解決策について」
(『城西国際大学大学院紀要』 (22), 85-101, 2019-03)